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原油価格の高騰や、留まるところを知らない物価高。ここしばらく、その影響を感じずに過ごす日は、あまり多くない。
スーパーで値札を見比べ、ガソリン代や外食の値段に一瞬ちゅうちょする。そんな小さな逡巡が、いつのまにか日常のリズムに組み込まれている。そしてその感覚は、これから始まる大型連休の過ごし方にも、静かに影を落とす。
日本ロマンチスト協会が2026年4月に20代~60代の男女300人を対象に実施したアンケートでも、その兆しは明確に現れている。
「原油価格の高騰や物価高は、今年のゴールデンウィークの過ごし方に影響を与えていますか?」の問いに、約6割の人が「影響あり」と回答した。今年の連休は、例年通り羽を伸ばせる期間ではなくなっている。

具体的な変化としては、「行き先を近場に変更する(34.5%)」が最多で、「外出回数を減らす(33.9%)」「予算を見直す(28.8%)」と続いた。遠出を完全に諦めるのではなく、移動距離や回数を削りながら連休の形を調整している様子がうかがえる。

こうした変化を強いられることについてどう感じるかを尋ねると、「不満はあるが、社会情勢を考えれば仕方ない」という“消極的な納得”が52.3%と過半数を占めた。強く否定もしないが、積極的に受け入れているわけでもない。そんな中間にある静かな受容が見て取れる。

本来なら「日常の外」へ出るための時間だったはずの連休に、条件がつきはじめた。楽しみが消えたわけではないが、思っていたより自由ではない。そんな中途半端な温度こそが、今年の連休の空気なのかもしれない。
確かにいつもと同じというわけにいかない。
だが、日本ロマンチスト協会としては、そんな時こそ、今の条件に合ったロマンティックな過ごし方を考えてみたい。やり方次第で、一日は思っているより豊かにできるはず。

いつもの街でも、「知らない道を歩く」「気になっていた店に入ってみる」「いつも素通りする駅前のベンチに座ってみる」など、少し行動を変え、視点を変えるだけで、少しだけ別の顔を見せる。
昼でも夜でも、一食だけ「今日はここが当たり」と思えるものを置くと、その日全体の印象が変わる。人は一日を均等には記憶しない。ひとつ鮮やかな場面があるだけで、特に何もしなかった休日が「案外よかった休日」に変わる。

「今日はクリームソーダの日」「今日は3軒だけ本屋を回る日」「今日はおいしいパンとコーヒーに出会う日」など、先に小さなテーマを決めてしまう。すると、その日の行動に一本の筋が通り、休日が少しだけ作品のようになる。
たとえば「1万円をちょうど使い切る」「写真は10枚まで」「知らない店にしか入らない」「現地で検索しない」。そんなふうに、その日の行動に小さな縛りを1つ作る。外から与えられた制約は息苦しいが、自分で決めた不自由には、少しだけゲームのおもしろさがある。
ほかにも、工夫次第で楽しみ方はいろいろある。連休の楽しさは、案外、大きな移動や大きな出費だけでは決まらない。少しだけ見方を変えた時間のなかに、ちょうどいい満足が残っている。
とはいえ正直なところ、筆者自身も「またその話か」と思ってしまう。コロナ禍の焼き直しには飽き飽きだ。
連休くらい、もっと何も考えずに楽しみたい。節約も、調整も、前向きな意味づけも、できればその日は休みたい。それが私たちの本音ではないだろうか。
ただ、今年の連休はコロナ禍のように「何もできない時間」ではない。行けなくはないが、その前に少しお金の心配がちらつき、考えてしまう。そんな連休だからこそ、自分で過ごし方を選び直す余地が残っている。

本来、ロマンティックとは、豪華さのことではない。何でもない時間のなかに、少しだけ特別な意味を見つけることのほうが、ずっと本質に近い。
そう考えるなら、今年の連休は日常の延長線上にロマンティックを見つけるチャンスだ。楽しもうとしているうちに、気分は案外ついてくる。
理想との差を数えるよりも、この条件のなかで何をおもしろがれるかを探してみたい。それだけでも、休日はたぶん、思っているより悪くない。
記事:研究員 佐々木 康弘
【調査概要】
・調査内容 :ゴールデンウィークの過ごし方に関するアンケート
・調査対象 :全国/男女/20歳以上69歳以下
・調査期間 :2026年4月7日
・調査人数 :300人
・調査機関 :Freeasy
※本調査結果をご利用いただく際は、「日本ロマンチスト協会調べ」と明記ください。
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