「月が綺麗ですね」を言いたい相手、1位はパートナー 日本ロマンチスト協会が“月と現代人”を調査
2026年9月25日は、中秋の名月。いわゆる「お月見」の日です。
「お月見」と言えば、すすきやお月見団子のイメージ。どこか昔ながらの行事という感じもします。その一方で、「今夜はスーパームーン」「皆既月食が見える」と話題になれば、SNSには月の写真がずらりと並びます。
……ということは、どうなのでしょう。
みんな月には興味がある。でも、自分ではもう空を見ていないのでは。誰かが撮った月をスマートフォンで見て、「きれいだな」と満足しているのではないか。
もしそうなら、「ただ月を見上げる」という行為は、そろそろ絶滅危惧ロマンティックなのかもしれません。
そこで日本ロマンチスト協会は、全国の20~50代の男女300人を対象に、「月と現代人」について調査しました。さて、現代人と月の距離は、どのくらい離れているのでしょうか。
「月が綺麗ですね」、誰に言いたい?
まず聞いてみたのが、少しロマンチスト協会らしい質問です。
「名月の夜に、誰か一人に『月が綺麗ですね』と伝えるとしたら、あなたは誰に最も伝えたいですか」

結果、1位は「パートナー(恋人・配偶者)」27.3%でした。
やはり「月が綺麗ですね」と言えば恋人でしょうか――と思ったら、2位は「家族」25.7%。その差はわずか1.6ポイントです。
続いて、「SNSで不特定多数の人に伝えたい」13.3%、「推し」8.7%、「遠くにいて、なかなか会えない人」8.3%、「片思いしている相手・気になっている相手」7.3%、「友人」5.0%となりました。
「月が綺麗ですね」というセリフは「I love you」の日本語訳だという有名な逸話があります。でも、「パートナー(恋人・配偶者)に伝えたい」と答えた人と同じくらい、「家族に伝えたい」と答えた人がいました。
月は、恋愛だけのものではないのかもしれません。
きれいなものを見つけたとき、「これ、誰かにも見せたいな」と思う。その相手が恋人だったり、家族だったり、遠く離れた誰かだったりする。
月には、大切な人の顔を思い浮かばせる力があるようです。
そもそも、みんな月を見ているのか
とはいえ、現代人はそもそも月を見ているのでしょうか。協会としては「実際はあまり見ていないのでは」と予想していました。

実際の結果は、「月を見ると『きれいだな』と感じる」に「とてもあてはまる」「ややあてはまる」と答えた人は、合わせて80.3%。
「特別な天文現象などがなくても、普段から月を意識して見ることがある」人も、60.3%。
……あれ。
思ったより、みなさん月を見ています。
さらに、「中秋の名月」「スーパームーン」「皆既月食」などが話題になると気になる人は65.7%。「誰かと一緒に月を見上げたい」と思う人も48.7%いました。
調査前には、「月はきれいだと思う。でも、わざわざ空までは見ない」というギャップがあるのではないかと考えていました。
ところが、月を普段から意識している人が実に6割。月を見る人は、まだまだ多数派です。
SNSの月で満足……しているわけでもなかった
もうひとつ気になっていたのが、SNSとの関係です。
月の写真が大量に流れてくる時代、実物の月より「誰かが撮った月」を見る人のほうが多いのでしょうか。
実際の結果は……

特別な月が話題になったときにすること(複数回答)で最も多かったのは「実際に空を見て月を確認する」47.7%。
一方、「月の写真を撮る」は14.7%、「SNSなどで他の人が撮影した月の写真を見る」は11.3%、「撮った写真を家族や友人などに送ったり、SNSに投稿したりする」は8.7%でした。
つまり、一番多いのは、
自分で空を見る。
かなり素朴でした。
「今夜の月、すごいらしいよ」
「そうなの?」
そして窓の外を見る。あるいはちょっと外へ出る。
SNS時代になったからといって、月がすっかり画面の中へ閉じ込められてしまったわけではなさそうです。
むしろSNSやニュースは、「今夜ちょっと空を見てみよう」と思わせる、新しいきっかけになっているのかもしれません。
月は、こちらまでやって来てくれる
考えてみれば、月は少し変わった存在です。
美しい海を見るなら海へ、夜景を見るなら見晴らしのいい場所へ行く必要があります。でも月は違います。
天気さえよければ、都会の真ん中でも、住宅街でも、駅から家までの帰り道でも見つけられます。
こちらが旅をしなくても、月のほうが毎晩の暮らしまでやって来てくれます。
そしてもうひとつ。月のよいところといえば、離れていても、同じ月を見ることができること。

遠くに住む家族や、なかなか会えない友人。遠距離のパートナー。LINEで「今日、月きれいだよ」と送って、それぞれ別の街で空を見ることもできます。通話をしながら、同じ時間に月を眺めることだってできます。
考えてみれば、月はずいぶん共有しやすいロマンティックだったのです。
絶滅危惧ロマンティックを探したら、ちゃんと生きていた
今回は「月を見上げる行為はもはや、絶滅危惧なのでは」と疑って調査を始めました。ところが結果は、予想よりずっと健在でした。
月を「きれいだな」と感じる人がいて、普段から月を意識して見る人がいて、特別な月の日には自分で空を確かめる人がいる。
写真を撮ったり、誰かに送ったりと付き合い方は変わっても、その真ん中にはまだ、「あ、月がきれいだ」と空を見上げる人がいます。
どこかへ行かなくてもいい。同じ場所にいなくてもいい。
月の下には案外、元気なロマンティックが残っていました。
記事:研究員 佐々木 康弘