読み物
新年早々、大手百貨店のオンラインショップに
色とりどりのチョコレートがならび始めたら
誰もが浮かれてカーニバル
店内で「シャラララ、素敵にキッス……♪」と聞こえてきたら
それは、”チョコ狩り族”にとって、”聖地巡礼”開始の合図なのです。
誰かのために選ぶのも良いけれど
やっぱり自分のためだけに選びたい
そう、現代のバレンタインは
1年間頑張った心と体を甘やかす究極の「ご自愛」イベントへと進化しました!
誰かに贈るための予算は削っても、自分が溺れるための1万円は死守。
それが「ご自愛チョコ族」の鉄の掟です。
そこで、『孤独のグルメ』の主人公・井之頭五郎ばりのレーダーで、常にチョコチェックには余念がない私(自称チョコハンター)がオススメするご自愛チョコを紹介します。

1953年にフランス・リヨンで創業し、2023年に70周年を迎えた名門中の名門。今のトレンド「Bean to Bar(ビーン・トゥ・バー)」という言葉が生まれる半世紀以上も前から、中南米のカカオ豆を仕入れ、自分たちで加工しています。
一番人気は、宝石箱のような「マンディアン」。
私はカカオ分55%のダークと、20%のミルクの2枚を大人買いしました。
魅力は、なんといってもチョコの厚さ
1cm厚のチョコにゴロゴロのナッツやドライフルーツが乗り、その高さは2cm弱!
新鮮なカカオの香りと、程よい甘さのチョコ、そして大粒なナッツのハーモニーが、口いっぱいに広がります。
一枚をちょっとづつ食べるもよし。
私はやっぱり、ドラえもんのアンキパンのごとく、ムシャムシャと端からかぶりつきたい!
(甘めのミルクは、一気食いには向きません……)
余談ですが、ここにも「円安とカカオショック」の波が。購入当時(2022年)は3,888円で買えましたが、今年の販売価格は6,588円(税込)。かつての1.7倍という値段に驚きつつ、年に1度のご自愛のためなら、財布の紐を緩める価値は十分。
購入時期:2022年9月(当時は、銀座三越で定期的に購入できましたが、今はバレンタイン時期のみの販売)

1982年の創業以来、抜群の安定感を誇る東京・白金台の名店。奇をてらわないチョコの数々に、古きよき日本の職人魂が宿っています。
お店のイチオシ「ミントチョコレート」にちなんで、ブランドカラーがミントブルー!
実は私、ミント味のチョコがあまり好みではないのですが、エリカのものは別格!
まさに「チョコミント界の気高き貴婦人」にふさわしく
雑味なき清涼感に、思わず背筋が伸びます。
私のイチオシは、ミントチョコレート、ラムレーズン、ドラジェ、ホワイトアーモンドがふんだんにつめこまれた「ハートブーケ(L)」。
手にした瞬間、手のひらがすっぽりと隠れてしまうほどの大きさ(直径約19cm)は、半端ない高揚感を運んでくれます。ちょっとずつ、ゆっくりと。自分を慈しむ時間にぴったりの「ご自愛チョコ」です。
購入時期:2019年2月
現在の価格:4,789円(税込)

フランス中央部のロアンヌ生まれで、ミシュラン3つ星のトロワグロなどで研鑽を積んだイヴァン・ヴァレンティン。ロサンゼルスにてシャロン・ストーン、故マイケル・ジャクソンをはじめとするハリウッドスターに愛され、5つ星ホテルなどに販売しています。
紹介制の”幻のチョコ”として、口コミで評判が広まり、2010年に東京へ降臨。バレンタインの期間限定で、高級セレクトショップ「バーニーズニューヨーク」などで販売が始まりました。近年は、バレンタインとホワイトデーの時期のみ発売され、高価格ながら、いまだに高い人気を誇っています。
定番は、12個入りのトリュフボックス。
ダークチョコレート、プラリーヌ ミルクチョコレート、ホワイト コアントローチョコレート、カプチーノ チョコレートが3個ずつ入っており、個人的にはコアントローリキュール、オレンジピールを使用し、粉砂糖でコーティングしたホワイトチョコレートが一番好みです。
2010年から買い続けていましたが、手元のメモに残る2013年当時は、一粒550円あまり(1箱6500円)。
その一粒の重みに震え、ロウソクを灯し、ウイスキー片手にビル・エヴァンスの「Peace Piece(ピース・ピース)」の静謐な旋律に身を委ね、イヴァンを迎え入れる。
今思うと、背伸びしすぎたキザな自分が何とも恥ずかしく、甘酸っぱい若気の至りです……
購入時期:2013年2月
現在の価格:8,287円(税込)

2007年のオープン以来、ミシュランの星に輝き続ける六本木のフランス料理店「エディション・コウジ シモムラ」。そのコースの最後に、お茶菓子として出されていた伝説の逸品です。
もともとは門外不出の味でしたが、あまりの美味しさにチョコのセレクトシップ「C7h8n4o2(チョコがかり※)」の店主・児玉寿瑞奈(こだま すずな)さんの熱烈な要望で販売が実現。さらに、2020年には通常の黒い丸缶(150g)を大幅に上回る、420gという「3倍弱の大容量サイズ」が登場しました。
これを見た時、私は狂喜乱舞し、思わず「悪魔の壺」と名付けました。
このチョコは、一度食べ出したら最後、本当に止まりません……
素材の良さを極限まで引き出す下村浩司シェフの真骨頂。
香ばしくローストされたピーカンナッツを、極薄の飴でコーティングすることで生まれる「サクッ、カリッ」とした軽快な食感。その上に濃厚な「チョコの布団」がかけられ、仕上げにふんだんな純ココアをまとっています。
カカオの濃厚さと軽やかな歯ざわりの融合。あと引く美味しさも加わり、計算し尽くされたまさに「芸術的ないい塩梅」。
エディション・コウジシモムラでは、2021年11月、新たにスイーツブランド「maquia de cacao(マキア・ド・カカオ)」を立ち上げており、そちらでも購入が可能になりました。
個人的には、世界中の珍しく、美味しいチョコが発見できるチョコがかりさんのお店で、黒い丸缶(現在は140g、3,348円(税込))と「新たな逸品」をあわせて探されることを強くおススメします。
購入時期:2020年2月
現在の価格:6,570円(税込)<エディション・コウジシモムラ店頭価格>
(※)店名の「C7h8n4o2」は、チョコレートの原料・カカオに含まれている「テオブロミン」の化学式で、「ちょこがかり」と呼ぶ。店主の児玉さんは、チョコ愛が高じて、チョコレートのセレクトショップをWEBで販売。その後、2019年11月に渋谷スクランブルスクエアオープンに合わせて、1階に店舗を構えている。

これまで、珠玉のご自愛チョコレートを紹介してきましたが、
私にとって今、最も食べたい「究極のご自愛」はこの2つです。
思えば、私のチョコ沼の原点は、子供の頃に食べた思い出の味だったのかもしれません。
カリッと焼いたアーモンドを極薄の飴でコーティングし、ミルクチョコで包んだ逸品。板チョコよりも少し高いその価格は、当時の私には高嶺の花でした。おやつ予算300円(バナナは別)という遠足の厳しい総量規制の前では、このチョコを選ぶことは、他のすべてを諦めるという「貴族の選択」を意味しました。2017年頃まで販売されており、東京・汐留の売店で見かけるたびに大人買い(という名の買い占め)していたのは私です。
ほんのり固いマドレーヌ風ビスケットに、ねっとりとしたオレンジジャムがたっぷり。その上からチョコをかけた、イギリスの伝統菓子「ジャファケーキ」を彷彿とさせる半生菓子です。1978年から1995年まで、私たちの放課後を支えてくれた日本伝統の味。今でもSNSで見かけるたびに「いいね」を100回くらい連打したくなるほど、再会を夢見ています。
チロルチョコから高級ショコラまで、山ほどチョコを食べてきましたが、結局は胃袋を掴まれた『幼馴染』の魅力に、一生抗えないだけなのかもしれません。
グリコさん、ロッテさん、復活を切に願っています!
これが私のマインドフルめし!
高級ショコラの価格に胸が苦しくなるのは恋のせいか、はたまた円安のせいか。
気づいたらカートに山盛りが止まらない……
今年も、宅急便が届いた瞬間からロマンティックが止まらない
記事:研究員 佐々木倫子
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